こんにちは、ヒョーかるです。私は福祉業界で適応障害や休職、復職を経験して、これは飄々と軽々と生きていけるんじゃないか?と学んだことや思ったことをコツコツお届けしたいと思います。
今回は、ストレスマネジメント(1)で書いた内容の中で特にコーピング(対処の仕方)について掘り下げてお伝えしたいと思います。
ストレスマネジメント(1)の記事はこちらです。
ストレス発生のプロセス
①ストレッサーに対するコーピング
ストレッサーを明確にして、除去・軽減を図る
ストレッサーについてこちらでも
●3つの視点
- 自力で克服する
- 相手に働きかける→人間関係など
- 回避・逃げる→1も2もできない場合必要あれば、異動、転職、退職などで堂々と逃げる
●ストレッサーをできるものは予測し、準備する。
→生活の変化、イベントなど
②ストレス反応に対するコーピング
表面化したストレス反応をしずめる
●休養・睡眠
●リラクゼーション
*状態が良い時に訓練しておくと慣れてきて、余裕のない時でもできるようになる
- 呼吸法(腹式呼吸)
- 漸進的筋弛緩法(PMR)
- ストレッチ
- 自律訓練法(自己催眠の一種)「だんだん重くなる」力が抜けると重くなる。「だんだん暖かくなる」副交感神経で暖かくなる。
リラクゼーションについてはこちらでも
●治療
→薬物治療
ストレスサインに早く気がつき、早く対処する
③周囲のサポート(ソーシャルサポート)
- 強いストレッサーにあったとき、耐性度が高くなる
→ソーシャルサポートの資源を多く持っている人は、ストレスに関連した病気に罹りにくい
- 自尊心を維持させる
- 自信の感情を保つ
- 情報やアドバイスを提供してくれる
→問題中心対処を容易にする。*相談内容によって使い分けておく
- ストレス耐性度は、ストレッサーを共有する人がいる場合に高くなる
- 反対に、人間関係がストレッサーになることがある
・SNSは賛同か炎上かという感じ ・会社がEAP(従業員支援プログラム)に入っているなら、そこを使うこともあり ・フォローアップ(リワークを離れると忘れてしまうから)
リワークでは「ソーシャルサポート資源」の確認をするワークをしました。何かを頼みたい時、頼めることができる人やコミュニティを洗い出して、自分のサポート資源を確認しました。その後、リワーク生同士で共有し、サポート種類の幅を知るきっかけになりました。
リワーク時に実施した4年前と比べると、私は減った分、別のサポートが入り、人間関係だけでなくサービスを利用した別の領域のサポートを利用するようになりました。この確認ができると、困った時や壁にぶつかった時の安心材料になります。
④認知的評価による対処
●ストレッサーの受け止め方(評価)を変え、ストレス反応に転嫁させない
ストレッサーの例「仕事でちょっとミスをした」
・これで全てが終わる… ・何もできない、もうダメだ… ・あとは怒られるだけ…
・少し厄介なことになった… ・この状況をなんとかしよう…! ・挽回する方法はある…!
どちらの受け止め方がストレスを強く感じるだろうか?
認知的評価
●出来事が自分にとってどのような意味をもつかに関する評価
→影響性の評価(練習量があるのか、ないのか)
- この状況は私自身に影響を与えるものだと思う
- この状況は私にとって重要なことだと思う
→脅威性の評価
- この状況は私を危機に陥れることだと思う
- この状況は私自身の生活を脅かすものだと思う
→コミットメント(があってストレスを乗り切る)
- この状況をなんとか改善したいと思う
- この状況を改善するために一生懸命努力しようと思う
→コントロール可能性
- この状況に対してどのように対処したら良いかわかっている
- 平静な気持ちをすぐに取り戻すことができる
●認知的評価の違いによってストレス反応の現れ方が大きく異なる
⑤コーピング
コーピング分類(1)
●問題中心対処(問題の原因を探し、それを潰す)
*原因は絡み合っているから、原因がわからない時もある。
→問題解決対処法があり、問題を明らかにし、いくつもの解決方法を考え、その中からもっとも有効で犠牲の少ない解決法を見出し、実行する。
●情緒中心対処(自分の捉え方を変える)
→状況や結末の意味(有意味性)を変え、その状況をコントロールできない状況へ自分自身を適応させる二次的コントロールである。
*「あぁここでは勉強の場なんだな」「あぁここはみんな同じなんだな」 *逆境の場合、守備一貫性の考えに近い。
コーピングの分類(1)
問題中心対処の例 | 情緒中心対処の例 |
・段階ごとに問題を考えてみる | ・その出来事のプラスの面を見つける |
・問題解決方法をいくつも考えてみる | ・一歩引いて出来事を冷静に見渡す |
・経験に照らし合わせて解決方法を考える | ・誰かが助けてくれることを願う |
・出来事の状況をもっと詳しく調べる | ・スポーツで気分転換する |
・問題解決のために積極的行動に出る | ・最悪の事態に備えて心の準備をする |
・専門家(医者、弁護士など)に相談する | ・人に当たって気分を紛らわす |
・友達に相談してみる | ・食べることで緊張を和らげようとする |
・タバコを吸って気を落ち着ける | |
・すべて自分の胸のうちにしまっておく | |
・忙しくすることで忘れてしまおうとする | |
・どうにかなると考え、心配しないようにする |
*各々のメリット・デメリットを知って、うまく使い分けること *うまく使わないと副作用が起こる *短期的な解決が有効の場合、長期的な解決には有効の場合、と使い分けていく
コーピングの分類(2)
●関与ー回避
- 関与:なるべく積極的に関わろうとする
- 回避:なるべく遠ざかろうとする
●問題焦点ー情動焦点
- 問題焦点:直面している問題を解決しようとする
- 情動焦点:自分の気持ちを安定させようとする
●認知ー行動
- 認知:自分の頭の中で考えようとする
- 行動:実際に行動しようとする
コーピングの種類「イライラのマネジメント」島井哲志、島田洋徳著 法研 参照
ストレスへの対処、ストレス解消法などというと「趣味に打ち込む」「パァーっと飲みに行く」のように気分転換をすることをすぐに考えると思います。しかしながら、実際のストレスの対処方法(コーピング)には、大きく分けて8種類のものがあります。
1)情報を集める(関与ー問題焦点ー行動)
・すでに経験した人から話を聴いて、参考にする
・力のある人に教えを受けて、解決しようとする
・詳しい人から、自分に必要な情報を収集する
私はこちらは通常行います。
2)問題解決の計画を立てる(関与ー問題焦点ー認知)
・原因を検討し、どのようにしていくべきか考える
・どのような対策をとるべきか、綿密に考える
・過ぎたことの反省をふまえて、次にすべきことを考える
こちらも私は通常使います。
3)誰かに話を聴いてもらう(関与ー情動焦点ー行動)
・誰かに話を聴いてもらい、気を鎮めようとする
・誰かに話を聴いてもらって、冷静さを取り戻す
・誰かにグチをこぼして、気をはらす
こちらは私は少しずつ取り入れるようになったと思います。
4)良い面を探す(関与ー情動焦点ー認知)
・悪いことばかりではないと、楽観的に考える
・今後は良いこともあるだろうと考える
・悪い面ばかりでなく、良い面を見つけていく
こちらはリワークで認知的な捉え方が広がってから、この対処をすることに慣れてきました。
5)責任を逃れる(回避ー問題焦点ー行動)
・自分は悪くないと、言い逃れをする
・責任を他の人に分担してもらう
・口で適当なことを言って、逃げ出す
こちらも割合としては0.5~1割取り入れるようになったと思います。まだ慣れないので違和感ばかりあります。また、納得していないと気持ち悪さが残ります。
6)あきらめる(回避ー問題焦点ー認知)
・自分では手に負えないと考え、放棄する
・対処できない問題だと考え、あきらめる
・どうすることもできないと、解決をあと延ばしにする
こちらも仕事面で使えるようになりました。生活面でも使えていると思いますが、自分が決めたことを諦めるときは納得するまで時間がかかります。
7)気晴らしをする(回避ー情動焦点ー行動)
・買い物やかけごと、おしゃべりなどで時間を潰す
・友達とお酒を飲んだり、好物を食べたりする
・スポーツや旅行を楽しむ
これは一番やりやすい方法ですね。割とこちらに偏っていると思います。これもできなくなるとかなり私は危うい状態です。
8)くよくよ考えないようにする(回避ー情動焦点ー認知)
・嫌なことを頭に浮かべないようにする
・そのことをあまり考えないようにする
・無理にでも忘れるようにする
こちらも取り入れられるようになりましたが、副作用が起こっているような感覚が私にはあります。回避パターンのコーピングが私はまた使い切れていないと感じます。
・これらの方法を時と場合によってうまく使い分けることが良いのです。むしろひとつの対処方法だけにとらわれているのではあまり良くありません。これらの対処方法のなかで、どれが今の自分にベストの方法かもう一度見直してみましょう。
・対処方法の選択肢をたくさん持つことは、ストレスにうちかつ最大の武器になります。
今は違和感を抱えながらコーピングの種類の幅を広げている最中だから苦しいんだと思うことがありました。きっと5年後〜10年後には、取り入れられているものもあるんじゃないかなと私は振り返ると思います。
ここでもリワークで「自分のコーピング方略」を調べるワークをしました。
「中学生・高校生・大学生のための自己理解ワーク」丹治光浩著、ナカニシヤ出版参照の「3次元モデルにもとづく対処法略尺度」というものを使いました。
4年ぶりにやってみると「気晴らし」が減り「放棄・諦め」「回避的思考」「肯定的解釈」「責任転嫁」の数値が増えて、偏りがなくなっていました。増えた部分は4年前はとても低い数値で、対処方法に偏りが見られました。
⑥考え方に対する対処法
●非合理的な考え方(イラショナルビリーフ)アルファテソス提唱
*非合理的な考えがあるとストレスコーピングの対処ができなくなる。コーピングのパターンが限ってしまう。
→妄想。あるいは事実にそぐわない考え方や現実に合わない考え方
- 私はみんなから嫌われている。鼻つまみ者だ。
- 「日本は和をもって尊し」とするほど「和」を大切にする国だから、鼻つまみものの私が日本で生活することはできない」
→飛躍のある、論理性のない考え方
- 職場で一度でも失敗すると、評価が下がる。そして、将来的に希望がない、うだつの上がらない職場生活になってしまう。
→自分、他人、世間と敵対する考え方
- 自分の教義、原理原則が絶対正しい。こうした教義や信仰を持たない人間は敵だ。
非合理な考え方の例(現実的な考えではないこと)
- 「誰からも、いつも好かれ、愛さなければならない」*反対に「あなたは皆を好きになれるんですか?」
- 「何をしても大変有能でほとんど完璧でなければならない」
- 「ある人はよこしまで卑劣な人間であり、罰せられなければならない」
- 「予測していたとおりに物事が進まないと不安になる」*「予想した通り、進まないと破滅なんですか?」
- 「外的な出来事が不幸の原因であり、そのことに対して不安や抑うつ的感情を抱く」
- 「未知の不確実なことは、何に対しても恐れや不安を抱くべきである」
- 「困難なことや責任の重いことは避けたほうが楽である」
- 「幸福とは何もせず、受け身で、変化なく、楽に過ごせることである」
- 「自分より偉い人や強い人に頼る必要がある」
- 「現在は過去に影響されていて、変えることが難しい」
- 「人は無力で、自分の経験や感情をコントロールすることはできない」
- 「完全な愛や完全な人間関係がある」
- 「人の価値はどれだけ達成したか、どれほど生産的であるかによって決定する」
非合理な考え方
「何をしても大変有能でほとんど完璧でなければならない」
*素晴らしいが、有能でなかった場合、矛先が自分や他人に向いてしまう。
●検討事項
- 事実か、現実に合うか?
- 論理的か?
- 自分、他人、世間と敵対しないか?
- 自分がそう考えた時の良いことは?
- 自分がそう考えた時の悪いことは?
どう考えるのが合理的、現実的でストレスが少ないか
ストレスコーピングの技法いろいろ
●リラクゼーション
●問題解決技法
●論理情動療法(REBT)→信念に基づいた療法:関係性ができていないとバトってしまう。
●認知療法(コラム法)
●アサーション など
最後に
最後にリワークで「ストレスコーピングリスト作り」のワークをしました。自分のストレスコーピングになる内容を100個書き出すワークでした。こちらは簡単なもの・質より量を重視して挙げていきます。
4年ぶりにやってみると意外にシンプルな内容に変化していました。4年前は手順が多く、ハードルの高いものやお金がかかること、1人でできないこと、混み入ったものが多かったです。
新しく加わったのは「新しいことに挑戦する」「できないことはやらない」「良い部分を見つける」「昼寝をする」など物を用意しなくても取り組め、シンプルで形に残らないコーピングが増えていました。そして難なく100個書き出すことができていました。これは自分にとって予想しておらず「4年でこんなに変わるもんだな」と感心した部分でした。
この記事が何かのお役に立てたら幸いです。また次の記事でお会いしましょう。
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