こんにちは、ヒョーかるです。私は福祉業界で適応障害や休職、復職を経験して、これは飄々と軽々と生きていけるんじゃないか?と学んだことや思ったことをコツコツお届けしたいと思います。
今回は、ストレスマネジメントについてお伝えしたいと思います。
こちらを知っておくと私は特に休職中、復職中に
「自分はストレスにさらされて、どの時期にいるんだろう?」
「この状態はストレスがかかっているのだろうか?」と気づきと振り返りに使えるものが多かったです。
復職して安定した時や復職経験がなくても、知っておくと便利な内容だと思います。気になる方は是非ご覧いただきたいと思います。
リワークのメインテーマ:社会的成熟
「成熟とは、自分が大勢の中の1人であり、同時にかけがえのない唯一の自己であると言う矛盾の上に、安心して乗っかっていられることである」中井久夫(医学者・精神科医)
*大事にすることは大事にして、折り合うところは諦める。理論と現実のギャップをフォローアップでディスカッションする。それがリワークの役割。
*首尾一貫感覚(SOC)は、アウシュビッツ強制収容所で過ごした人たちを研究したものより提案された。「ストレスがかかったら休みましょう」と綺麗事だけでは乗り切っていけないでしょう、と言う理論。
リワークの臨床心理士さんが熱弁されていた内容です。リワークでは社会的成熟を目指して復職をしていくことが目的と仰っていました。そして私の耳にも残っています。
首尾一貫感覚(SOC)は
でも書いています。
ストレスマネジメント
●目的
→ストレスの仕組みを理解する
→ストレス対処のための基礎を学ぶ
→自分自身のストレス反応・ストレッサーを知る
ストレスの定義
●一般的には4つの考え方がある
1、ストレスはその状態を引き起こす出来事である。
→ストレッサー(ストレス源)
2、ストレスは反応である。
→身体的症状:頭痛、腹痛
→精神的症状:不安、抑うつ
3、個人がその出来事をストレスと受け止めるために精神・身体的症状であるストレス反応が起きる。
4、ストレスを全体的な現象とし、1つの出来事や状態がストレスの原因になるわけではなく、環境、生活様式、社会適応などさまざまな要因がストレスに影響を及ぼしている。
4つをまとめて「総合的ストレス過程」と定義するのが最新の傾向
ストレスと生産性
●職場ではじめての仕事や困難な課題を任される
→かえって自分の能力以上の働きができ、結果的にパフォーマンスが向上することがある。
●ストレッサーがない職場、だらだらした緊張感のない状態
→働く人の意欲は下がり、生産性や効率が低下する。
●過度のストレス環境下
→強度の緊張が引き起こされ、生産性は低下する。
「最適のストレスレベル」で維持するのがよく、ストレスは減らせばいいというわけでもない。
ストレス発生のプロセス
①ストレス反応
●ストレッサーによって生じる心身の変化(歪み)
燃え尽き(心理的反応)
●燃え尽きとは
→精神エネルギーを著しく消耗するが、その労力に比較して満足感や成功体験が得がたい。
→社会や自分自身によって課せられた仕事における非現実的な期待(期待を現実的なものにする)に応えようとして、疲れ果ててしまう。
*「境界線を引く」自分の問題か相手の問題かの線引きをすること。対人援助職では必須。
●症状
- 相手に対して関心や気づかいがなくなる
- 突き放した機械的態度で相手に接する
- 仕事に対して意欲がなく、熱心さや努力の減退が見られる
- 同僚に対する冷淡、否定的態度、イライラ感、怒り
- 仕事における自分の快適性や福祉ばかりに関心が向く
- 失敗を相手やシステムのせいにする傾向が強くなる
- 変化への抵抗を示す
- 柔軟性が欠如してくる
- 想像力の低下が見られる
ストレス反応の発現パターン
*第2段階では、瞬間元気状態になる。
*抵抗期から疲憊期(ひはいき)に入る頃はストレスに気づきにくくい。
*疲憊期に入ったら、生活リズムを整えていくとよい。家のことも最低限で。
*復職した時は6割くらいの力でいた方がいい。
警戒期 警告反応期 | ショック相 反ショック相 | 外的刺激が主体に取り込まれたことを知らせる初期反応。 ショック相を経て、反ショック相に至る。 |
抵抗期 | 反ショック相の兆候はしだいに強化される。 外的刺激に対抗して一定の安定(適応状態)が確保されている状態。 | |
疲憊期 | 再度ショック相が起こる。 ショック相は全身的な衰弱状態であるから、長期間続くと生体は死の転帰を迎えることになる。 |
②ストレッサー
●ストレスを生じさせるきっかけとなる出来事や刺激
物理的刺激 | 温度、湿度、騒音、臭い 痛みやかゆみの元になる物質や現象など | |
心理的刺激 | 1)葛藤 | 心理的内面の相反する意見、態度、要求 |
2)トラウマ | 外傷後ストレス障害(PTSD) | |
3)ライフイベント | 生活上の事件 | |
4)デイリーハッスル | 日常生活の中で繰り返し経験する出来事 |
1)葛藤
●個人の心理的内面における相反する意見、態度要求
●だれもが抱く代表的な葛藤
- 人への信頼と不信感
- 独立への欲求と依存の要求
- 達成への期待と無力感
- 自尊心と劣等感
- 協調と劣等感
- 孤独への憧れと孤独への恐れ
- 衝動と衝動への反発
*葛藤を起こしやすい時期がある。
(新入社員時期、5年目、40歳、退職時)変化点であるためストレスがかかりやすい
*個人の内面にある葛藤もストレス過程の引き金となる。
2)トラウマ
●外傷後ストレス障害(PTSD)
→誰もがストレッサーと感じる出来事を体験した後に起こす精神的障害
→PTSDを起こす外傷
- 戦争
- 地震や台風などの自然災害
- 凶悪犯罪(暴行、強姦、虐待、いじめなど)
- 重大な事件(交通事故や火災など)の被害者となる など
●症状
・再体験(フラッシュバック)、麻痺(感じなくなる)、過覚醒(夜に眠れなくなる)
→全ての人が、外傷的な出来事を体験した後に発症するわけではない。
*職場でトラウマを抱えたら、休職中にケアをした方がいい。 ①安全な場でその体験を喋ることも大事(相手は批判しない人がいい) ②SSR(服薬) ③タッピングセラピー
3)ライフイベント
●生活上の事件
→人生の中でごく稀にしか経験することはないが、多くの人に共通して大きなインパクトを与える出来事
●社会再適応尺度評価(SRRS)
1968年にアメリカワシントン大学のホームズとラーにより開発されたもの。
ストレスのランキングをLCU(Life Change Unit)生活変化指数と名づけて測ることができる。
6ヶ月で 150~300 50%の人が健康上の変化がある。 300を超える 約80%の人に健康上の被害がある。
私はリワークで当時はかると956ポイントで、1000ポイント近くの生活変化指数が出ました。そりゃ病気になるよねと大いに納得できた指標でした。
●SRRSを作成した前提
1、すべての人間は環境に適応していきる生き物である
2、環境の適応には努力・エネルギーを要する
3、環境の変化が大きいほど努力・エネルギーの多く必要
4、努力・エネルギーが多いほど疾患発症の可能性が高まる
→LCUと疾患発症の関係が強いことから妥当なものと言える
●ライフイベント
→これまでの生活パターンを、その出来事により生じた状況に適応するために変えなければならないこと
・悪い出来事
・良い出来事
*状況を把握することが、そして回避の方法も持っておくことが大切。
4)デイリーハッスル
●日常生活の厄介な出来事
→出来事の影響性そのものはそれほど大きなものではないが、生活の中で頻繁に経験する出来事。
→いらだちごと:デイリーハッスル
- 職場、学校の人間関係
- 通勤、通学電車の混雑
- 仕事や勉強の負担
- 騒音、悪臭
- 気温、湿度
- 近所付き合い
- 友人とのトラブル など
→ハッスル尺度(ハッスルスケール)
・精神症状との関連が深いことが実証されている
・適応および健康の予測に優れた指標
・ハッスルスケールの図が載っている書籍 「ストレスマネジメント入門 自己診断と対処法を学ぶ 第2版」中野敬子 金剛出版 ・ハッスルスケールの参考として図が載っている論文リンク↓ 現代に即したDaily Hassles尺度の作成 長尾 紗季・石川 健介 https://www.micenavi.jp/jpa2019/img/figure/10391.pdf
③認知的評価
●出来事が自分にとってどのような意味をもつかに関する評価(ラザルス)
→影響性の評価
- この状況が私自身に影響を与えるものだと思う
- この状況は私にとって重要なことだと思う
→脅威性の評価(完璧主義はこの傾向が高い)
- この状況は私を危機に陥れることだと思う
- この状況は私自身の生活を脅かすものだと思う
→コミットメント
- この状況をなんとか改善したいと思う
- この状況を改善するために一生懸命努力しようと思う
→コントロール可能性(何とかできそうかもという主観)
- この状況に対してどのように対処したらよいかわかっている
- 平静な気持ちをすぎに取り戻すことができる
●認知的評価の違いによって、ストレス反応の現れ方が大きく異なる
心理学的ストレスモデル
認知的評価
●一時的評定
無関係 | 失うものも得るものも無い場合 | |
無害ー肯定的 | 肯定的、つまり良好な状態を維持し、強化すると思われる場合 | |
ストレスフル | 害ー損失 | 自分の価値・目標・信念などが既に「危うくなってしまった」「脅かされてしまった」場合 |
脅威 | 将来において、否定的な結果が起きる可能性がある場合 | |
挑戦 | 出会った状況が、自分にとって利益や成長の可能性を与えると判断される場合 |
●影響性の評価
●脅威の評価
●二次的評定
→一次的評定で「ストレスフル」と評定された場合、その状況を処理したり、切り抜けたりするために何をすべきか検討する過程 ・あるコーピング方略を採用した場合、どんな結果が起こるのか(結果予期) ・その結果を導くための行動をうまく遂行できるか(効力予期)
●コントロール可能性
●コミットメント
●一次的評価と二次的評価
→時間的な前後関係ではない ・相互に影響を及ぼし合っている ・内容が異なっているだけ →意識的である必要はない ・意識的になされる慎重なもの ・無意識的になされる直感的、自動的なもの
④コーピング
●問題解決に焦点をあてる →情報収集する →計画を立てる →話を聞いてもらう ●気分の調整に焦点をあてる →肯定的に考える →考えないようにする →気晴らし、気分転換 ●回避する →責任を他に転嫁する →あきらめる
こちらでも書いてます
*これをやればいいよというものではない。どれもメリット、デメリットがある *状況の展開をうまく予測し、有効なコーピングを組み合わせて活用する *バリエーションを増やす
⑤考え方の特徴
以下の傾向の人は陥りやすい。
●ストレス症状に関連する認知的変数 →不合理な信念 ・柔軟性の無い偏った考え方。二者択一的、完全主義的、破局的、独善的ななどの特徴 →自動思考 ・自動的に浮かんでくる自己や将来に対する否定的な考え方 自動思考について、こちらでも書いてます。https://hyohyo-kalgal.com/認知再構成法/ →原因帰属の型 ・結果の原因をどこに求めるかの特徴 ・失敗の原因を自分の能力に帰属させる傾向の強い人は抑うつ状態に陥りやすい *心の中で「やり方やマニュアルがないからだ」とつぶやく。成功した時は「私のおかげだ」と心の中でつぶやく →ペシミズム ・悲観的主義な考え方 →パーソナルコントロール ・身のまわりに起こる事象をどの程度、自分でコントロールできると思うかに関する統制感
⑥周囲のサポート
●ソーシャルサポートは重要な緩衝要因
●サポート
1、ネットワークの広さ
2、サポートへの期待感(ストレス反応を大きく緩和)
3、サポートの内容
・実際的な援助
・情緒的な援助
●ストレッサーの性質などにより有効なサポート源は異なる
*相談する相手を間違えると余計にストレッサーを感じてしまう
最後に
結構なボリュームになってしまいました。特に「認知的評価」を変化させ「コーピング」で対処ができるようになると、ストレスに対して自在にコントロールできるようになると思います。知識として知っていても、もちろんうまくいかないこともたくさんあります。そのため、今でも私は助かっている知識です。
この記事が何かのお役に立てたら幸いです。また次の記事でお会いしましょう。
参考文献 「学校、職場、地域における ストレスマネジメント実践マニュアル」坂野雄二監修 嶋田洋徳・鈴木伸一編著 北王子書房 「ストレスマネジメント入門 自己診断と対処法を学ぶ 第2版」中野敬子 金剛出版 「ストレス心理学 個人差のプロセスとコーピング」小杉正太郎編著 川島書店 「キャリア開発の産業・組織心理学ワークブック[第2版]」石橋里美 ナカニシヤ出版
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