こんにちは、ヒョーかるです。私は福祉業界で適応障害や休職、復職を経験して、これは飄々と軽々と生きていけるんじゃないか?と学んだことや思ったことをコツコツお届けしたいと思います。
今回はアサーションの基礎について書きたいと思います。アサーションは身につけるととても楽に役に立つ方法だと私は実感しています。以下の記事でも書いています。
目的
●アサーションとは何かを知る
●アサーションのイメージをつかむ
●自分の自己表現のスタイルを知る
自分を伝えるということ
●人間関係は伝え手と受け手からなる
●人の心の中は見えない
- 伝えた音は相手の受け取り方で変わる
- コミュニケーションとは誤解やズレを調整していくこと
- 自分の考えや気持ちを正確にとらえてから伝える
●人それぞれ理解の枠組みが違う
●自己表現には限界がある
- 心の全てを伝えることができない
- ことばの限界
- 伝えたいことを選択する
自己表現の3つのタイプ 具体例から理解する
こんなとき、どんな言動をしますか?
【外食中に】
Aさんが郷里から上京してきた友人と、銀座のレストランで夕食をしています。先ほどステーキの焼き加減をレアで注文しましたが、ウェイターが運んできたステーキはウェル・ダンに焼きあがっていました。Aさんの行動は…
反応1(何も言わない) Aさんは友人に「こんなに焼けてしまっている。このレストランには来ないぞ」と愚痴をこぼすが、ウエイターには何も言わず、笑顔で受け応えをする。せっかくのステーキはまずく、注文通りのものを要求し直さなかったこと、こんなところに友人を連れてきてしまったことを後悔する。何だか自分がすっかり萎縮してしまった感じになる。
反応2(嫌味を言う) Aさんは怒ってウエイターを呼ぶ。そして、注文通りでないことを必要以上に大声で怒鳴り、もう一皿注文通りのステーキを要求する。Aさんは自分の要求が通ったことと料理には満足したが、怒鳴ったことでその場が気まずい雰囲気になってしまい、友人には決まりが悪く、また、夕食の雰囲気はすっかり台無しになってしむ。一方、ウエイターは侮辱された感じがして、不愉快な気持ちがしばらく静まらない。
反応3(アサーティブ) Aさんはウエイターに合図をしてテーブルに呼び、「自分はステーキをレアで注文したこと、しかし、ウェル・ダンのステーキが来てしまったこと」を伝え、ていねいに、しかしはっきりと「レアのステーキと取り替えてきて欲しい」と頼む。ウエイターは間違いを謝り、まもなくレアのステーキを運んでくる。Aさんも友人も夕食を満喫し、Aさんは自分の行為にも満足し、自信を高める。もちろんウエイターも客が満足したことで気分がいい。
自己表現3つのタイプ
3つのタイプの自己表現の特徴一覧
非主張的 (面倒な時はこれも有効) | 攻撃的 (権利侵害されてる場合はあった方がいい) | アサーティブ (大人な対応) |
引っ込み思案 | 強がり | 正直 |
卑屈 | 尊大 | 率直 |
消極的 | 無頓着 | 積極的 |
自己否定的 | 他者否定的 | 自他尊重 |
依存的 | 操作的 | 自発的 |
他人本位 | 自分本位 | 自他調和 |
相手任せ | 相手に指示 | 自他協力 |
承認を期待 | 優越を誇る | 自己選択で決める |
服従的 | 支配的 | 歩み寄り |
黙る | 一方的に主張する | 柔軟に対応する |
弁解がましい | 責任転嫁 | 自分の責任で行動 |
「私はOKではない、あなたはOK」 | 「私はOK、あなたはOKではない」 | 「私もOK、あなたもOK」 |
多くの人は、誰か特定の人との関係やある種の特定な状況で、アサーションができなくなる。
【ワーク】残業をめぐるやりとり ●ある日の夕方、郷里から上京した友人と夕食の約束をしていた社員が、そろそろ退社しようとしていたところ、課長から急遽、残業の依頼を受けた。 課長:「Aさん、今、急に部長から明日の会議の追加資料を今日中に作成するよう頼まれてね。君が一番よく分かっている内容だから2時間もあればできると思うので、残業頼むよ」 どうしますか?
アサーティブな表現は? 1、「わかりました」と言う。 (「ついてないな、今日に限ってこんなことになろうとは…。困った、友達には何と言おう?」と思いながら) 2、「今日は予定があるので、そんな急な残業はできません。無理です」と言う。 3、「困ったな(正直ポイント)。資料作りができればいいのですが、実は今日、田舎から上京してきた友人と夕食を一緒にする約束をしています。稀なことなので、できれば早く帰りたいと思います(状況説明)。明日の朝早く出てきて準備しても構いませんか(提案)」と言う。
アサーティブとは 概念的に理解する
●「アサーション」はコミュニケーション・スタイルの1つである。
●その意味は「自他尊重の自己表現」、あるいは「自分と他者の人権を侵すことなく、自己表現をすること」である。
●自他尊重のコミュニケーションとは
自分の思いを大切にして「伝える」と同時に、相手の思いを大切にして「聴く」ことで成り立つ。
主張的(アサーティブ)という概念が備えている要件
①自分の思考、感情、信念の率直な表出 →反論や意義、怒りや不安を隠さず表に出し、愛情や友情を率直に表現すること。 ②感情に流されない冷静な自己表現 →自分の感情を客観的に捉えてコントロールし、社会的にふさわしい形で表現すること。 ③他者や状況への配慮に基づいた柔軟な対応 →一方的に自分の思いを表出することではなく、相手の立場や権利を尊重することも含む。 →自分と相手を取り囲んでいる状況にも配慮し、その状況にふさわしい言動が柔軟にとれる。 ④自分の行動に対する主体的な決定 →自分の判断で、自分の責任で実行することを決定する。 →主体的な決定には、自分がどのように感じ、どのような状態になりたいのか、自己認識できることが前提である。 「新版 人づきあいの技術 ソーシャルスキルの心理学」相川充著 サイエンス社」参照
アサーティブなスタイル
●アサーション、あるいはアサーティブな自己表現とは、まず自分の考えや気持ちなどを明確に捉え、それを正直に、相手にわかりやすく伝えてみようとすることである。
●同時に、相手も同様に自己表現することを期待し、受け止めようとすることである。
●相互交流のコミュニケーションを予期し、「語る」ことと「聴く」ことの相互作用によって人間関係をつくろうとすることでもある。
●アサーティブな関わりを心がけようとすると、ものごとはいつも自分の思い通りや相手の思い通りには進まないときがあることがわかる。そんなときは、相互の理解をより深め、歩み寄りの話し合いをするしかない。そこにこそ、アサーションが必要になる。
アサーティブ行動の10のキーポイント
- 自己を表現する
- 他者の権利を尊重する
- 正直
- 直接的で凛としている(してもらいたいことをぼやかさない)
- より平等にしょうとする
- 言語行動ー伝達する内容を含む
- 非言語行動ー伝達様式を含む
- 一律でなく、人と状況に応じる
- 社会的責任を持つ
- 生まれつきではなく、学習するもの
「自己主張トレーニング」ロバート・E・アルベルティ他著 菅沼憲治他訳 東京図書 参照
自分の自己表現のスタイルを知る ワークを使った自己理解
「対人関係のスキルを学ぶワークブック」平木典子監修 宮崎圭子・柴崎祐子共著 培風館
より「パターンチェックリスト」を復職支援(リワーク)でやりました。4年経って、できる部分も増えてきたところがありました。
リワーク時、私が「いいえ」に答えていた一例が以下になります。
【自分から働きかける】
・あなたは、自分の長所や、なしとげたことを素直に人に言うことができますか。
自分を低く見ていた私は、長所なんてないし、成し遂げたことなんて大したことないものと捉えていたので、人に言うことなんてできませんでした。
こちらはリワーク卒業後、復職していく中で「今日も仕事に行けた、まずそこで偉い!」「今日もお風呂入った、すごい!」から始めました。正直、子供じみてると思い、恥ずかしかったです。しかし、継続することで現在も月末振り返りなどでやったことに目を向けられるようになり、「今日はこんなことをやってね」と人に言えるようになりました。
・あなたは、自分が神経質になっていたり、緊張しているとき、それを素直に受け入れることができますか。
過敏になっていることに気がついても「こんなことで動揺してどうするんだ」と打ち消していました。緊張していることが分かっていても「これくらいで緊張してアホじゃない」と否定していました。
こちらは「親や他人に心配させないため」「友達も緊張しているからしっかりしなきゃ」と、ピアノの発表会経験が「堂々としていないといけない」というマインドに染み付かせていたことは印象に残っています。
こちらも復職していく中で「緊張?当たり前だよね、初めてやるんだもん」「HSP気質なんだもん、仕事場の人の言葉や空気に神経質になるよね」と認める経験が積み上がっていったことで、素直に受け入れることができるようになったと思います。
・あなたは、人に援助を素直に求めることができますか。
人に助けてもらうなんて、自立できていないと考えていました。
こちらは今も課題ではありますが、自分ができるところから「○○してもらっていい?」「今、立て込んでて一杯一杯なんだよね」と助けてほしい気持ちを素直に言葉にするところから始めました。
今もまだ課題ではありますが、自分の中では言葉にしていることがもう階段10段跳びの成長です。
【人の言動】
・人から誉められたとき、素直に対応できますか。
自分を低く見ていたため、誉められる自分なんているわけないと捉えていました。
あと大体の大人が「いいえ、そんなことありません」って答えているので、それが耳に染み付いて口にポロって出てしまっていたなと思います。
始めは誉められたら「ありがとうございます」と返すと言うところから取り組み、毎回ではありませんが、素直に受け取れるようになったと思います。
・あなたの行為を批判されたとき、素直に受け答えができますか。
こちらは批判されたことに対してびっくりして、何も答えられない状況が自分の対応でした。
今はムッとする感情を抱くようになり、その感情を自分のものだと受け入れてから
「~~については適切ではないですね」と謝罪をしたり、「~~について、Aさんはそう思って伝えてくださりありがとうございます。私は◯◯についての意味を△△と思って対応してみました」と返答することができるようになってきました。かなりの成長かなと思います。
・相手から援助や助言を求められても、できない場合は断ることができますか。
「断る」コマンドがないくらい、断ることを知りませんでした。断ったら相手が困るから「断る」コマンドがないという捉え方でした。
現在はアサーションを使って「Aがあるので、Bならできるけどどうでしょう?」と断って提案するまでできるようになりました。
この頃、アサーションに紐づけて復職後の挨拶文について話題になりました。 「皆さんに、ご迷惑とご負担をおかけしました。これからは無理のない程度に皆さんに貢献していきます」と状況の説明と感謝。そしてこれからの自分を伝えていくことが重要、産業医面談でも同じことだよ」と言われたことを鮮明に覚えています。
アサーションを実行しやすくするための条件
①自分の気持ちを把握しましょう →自分についてよく知り、他の人とそれを共有すると、メンタルヘルスが上がる。 →「自分を知る」ということが(アサーションには大切。)人間にとってとても大事である。 ②結果や周囲を気にし過ぎないようにしましょう →自己表現で重要なこと ✖️他人や周囲の状況を気にしすぎる ✖️言いたいことが伝わるかどうか ○自分の気持ちが適切に言えるか否か ③アサーティブな考え方を持ちましょう →非合理的な考え方を、合理的な考え方に変える ④アサーション権を知り、使いましょう →相手の言い分を受け止める気持ちがあるなら、とりあえず、自分の今の気持ちを伝えてもいい。 →「自分がやりたいことを言うことは人権として許される」ことを理解する。 ⑤アサーションのスキルを習得しましょう →自己表現の仕方を学んでない→訓練すれば身につく
非合理的な思い込み
- 人は誰からも愛され、常に受け入れられるようであれねばならぬ
- 人か完全を期すべきで、失敗してはならない
- 思い通りに事が運ばないのは致命的なことだ
- 人を傷つけるのはよくない。だから人を傷つけるような人は責められるべきである
- 危険で、恐怖を起こさせるようなものに向かうと、不安になりなにもできなくなる
非合理的な考え方を、合理的な考え方に変える
*コミュニケーションは不完全なものなので「ねばならない」と言う考えがあると、コミュニケーションはしにくくなる。
基本的な5つのアサーション権
- 私たちは誰からも尊重される権利がある
- 私たちは他人の期待に応えるかどうか決める権利がある
- 私たちは誰でも過ちをし、それに責任を持つ権利がある。(その結果を引き受ける、そういう気があるなら過ぎってもいい)
- 私たちには支払いに見合ったものを得る権利がある
- 私たちには自己主張しない権利がある
- 権利というのは、何か力付くで要求したり強制したりすることではなくて、人々が「それはもっともなこと」と認めた道理に基づいて要求することができることを指します。
- 私たちは人権、つまり安心して、自分を大切にして、自由に生きる権利を持っています。
- この人権を守るには、自分の気持ちや考えを大切にし、自己表現することは「もっともなこと」であって、アサーションは権利なのです。
最後に
今回もボリュームがありました。私はアサーティブコミュニケーションで自己表現の仕方を身につけていったなと実感します。「訓練」や「練習」というと硬い言葉ですが、「使ってみる」「言ってみる」ことでハードルが下がっていくと思います。私もここまでできるようになるとは思いませんでした。
この記事が何かのお役に立てたら幸いです。また次の記事でお会いしましょう。
参考図書 ・「図解 自分の気持ちをきちんと〈伝える〉技術」平木典子 PHP研究所 ・「図解 相手の気持ちをきちんと〈聞く〉技術」平木典子 PHP研究所 ・「アサーショントレーニング」平木典子 日本・精神技術研究所 ・「アサーションの心」平木典子 朝日新聞出版 ・「アサーティブ・コミュニケーション」岩舩展子・渋谷武子 PHP研究所 ・「対人関係のスキルを学ぶワークブック」平木典子監修 宮崎圭子・柴崎祐子共著 培風館
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