こんにちは、ヒョーかるです。私は福祉業界で適応障害になり休職、復職を経て、週末は借りている畑の世話をしながら現在も同じ業界で働いている30代です。
今回は疾病について知り、セルフマネジメントをするために必要な疾病理解について書きたいと思います。今回お伝えする疾患は
1、うつ病(うつ状態のみ)
2、双極性障害(うつ状態と躁状態両方みられる)
この2つについてお伝えします。
うつ病とは
・抑うつエピソードが2週間以上継続し、毎日何気なく繰り返してきた行為がつらくなりできなくなった場合に、うつ病が疑われます。特に「興味の減退」と「快体験の喪失(入浴して気持ちが良いなど)」が見られます。
・これまでにうつ病を経験した者の割合は3~16%(10人に1人ぐらい)と言われ、決して稀な疾患ではありません。
抑うつエピソードについて
抑うつエピソードについて① まず体に症状が出ます。
〈身体症状〉 ①睡眠障害: 入眠困難、中途覚醒、睡眠過多 ②食欲変化: 食欲低下、過食、体重の増減(1ヶ月で体重の5%)、好物なのに美味しくない、味がわからない ③疲労感、易疲労感: ひどく疲れる、全身が重く気だるい感じが取れない ④自律神経症状・消化器症状: 微熱、肌荒れ、便秘、下痢など
抑うつエピソードについて② 次に精神面に出ます。
〈精神症状〉 ①抑うつ気分: 気分が沈む、生きている実感がない、取り残された感じ、寂しい、生きていても仕方がないなど ②関心・興味の減退: いつもの趣味ができない ③社会的関心の低下: 人に会いたくない、テレビを見る気になれない ④作業効率の低下: これまでできていたことができなくなる、時間がかかる、ミスの増加 ⑤意欲・気力の低下: 何をするにも億劫、集中困難
抑うつエピソードについて③ そして行動にでます。
〈行動面〉 ①動作が緩慢になる ②喋るのが遅くなる ③声が小さくなる (②〜③の声や喋り方から疾患を見つける研究もされている) ④自殺企図 (考えている、準備をする、電車に飛び込みたくなる)
こんな言動や変化に注意
・なんとなく元気がなくなった。
・口数が少なくなった。
・冗談を言ったり笑ったりしなくなった。
・眠れなくなった。寝てもすぐ起きる。早く起きてしまう。
(睡眠が大きなポイント。4割の人が睡眠に出てくる)
・食欲が落ちた。
・食べ物が美味しくない。
・新聞や本が読めなくなった。
・よくため息をつくようになった。
・仕事には自信を失い、自己卑下するようになった。
・仕事が捗らなくなった。
ただしストレスが原因でなく、うつ状態になることもあります!
身体疾患
・甲状腺疾患、脳疾患、認知症、脳血管障害、脳腫瘍、糖尿病によってうつ状態になることも。
薬剤による影響
・降圧剤、ホルモン製剤、抗パーキンソン病薬、覚醒剤、麻薬、アルコールによってうつ状態になることもあります。
これらを取り除いてみることで、うつ状態が改善されることもあります。
主な治療
1、休養(睡眠外来、タッピングセラピー)
2、精神療法(アサーション、疾患について学ぶ)
3、身体的治療
①薬物療法
②生活リズムを整える
③電気けいれん療法(ECT:昔からある方法で日本ではあまりできない。皇后雅子様も受けていた)
④磁気刺激治療(TMS)
私も1〜3までの治療を全て通りました。3は②の生活リズムを整えることで大きく改善しました。リワークの仲間はTMSを受けている人も何名かいました。
うつ磁気刺激治療(TMS)のポイント
①薬物療法などの、従来の治療とは全く異なる画期的な治療法
②副作用がほとんどない
③うつ病は脳の機能低下によって起こるため、そのメカニズムに基づいた治療法
・医療先進国のアメリカ発の治療方法で、日本の厚生労働省にあたるアメリカ食品医療局(FDA)から、2008年に認可を得ている。
・2017年に日本でも一部機器が厚生労働省から認可を受けた。
〈TMSの効果〉
・磁気を用いて脳の特定の部位に働きかけ、脳血流を増加させることによって低下した機能を元に戻す。
・薬物治療や電気けいれん療法(ECT)に比べ、副作用が少なく安全性が高いのが特長。
・2012年にNHKで特集番組で放送されたのをきっかけに、日本国内でも一気に注目が高まった。
うつ病の経過
一般的な状態を伝えると、障害への進展すると治療を開始し、様々な反応の起こる6~12週間は急性期治療期間(寛解期)になります。寛解状態になると日常生活が送れるようになり、4~9ヶ月が継続期治療(回復期)になります。回復状態になり1年以上が維持期治療(再発予防期)になります。
うつ病で絶対に防がなくてはならないこと。それは自殺です。
・どのタイミングが一番注意が必要でしょう?
継続期(回復期)はエネルギーもできている(充電できている)。死について考えるエネルギーが出てきやすいのです。
図のそれぞれの期間にあるグレーの点線は急性期(寛解期)、継続期(回復期)は再燃と言い、維持期(再発予防期)は再発と言います。症状が戻りやすい時期です。どの段階でも注意が必要ですが、継続期で日常生活が送れるようになるエネルギーができた頃が、自殺へのエネルギーに向きやすいです。
私は大学時代に診断は下りませんでしたが、抑うつ状態になって休学したことがありました。自殺企図になるのかもしれませんが、ぐったりしながら「シャワーの水になりたいな。木の葉のように風に乗って飛んでいきたいな」と人間でなく自分の体から意識を抜きたい気持ちになったことがありました。おそらく回復期にこんな考えがよぎったら、飛び降りたりしていたのかもしれません。
うつ病にもタイプがある
・第Ⅰ型:うつ病になりやすい性格(メランコリー新和型)をもった標準的なうつ病。つまり一般的なうつ病(休養が必要) ・第Ⅱ型:双極2型のうつ病。←私はおそらく数割これもあるかも。 ・第Ⅲ型:性格的な未熟さからくる依存的、自信欠如、高い葛藤によって生じるうつ状態(考え方を学ぶことが効果的)。←加えてこれも私の場合はあるかと。 ・第Ⅳ型:統合失調症的な特性がある場合。 ・第Ⅴ型:肉親との死別や恋人との別離、その他ショックなことによって悲しんでうつ状態になる場合(カウンセリング)。 ・第Ⅵ型:その他のうつ状態。 笠原ー木村分類より
うつのタイプによっても治療が違うため、自分がどのタイプかと見てみるのも大切です。
双極性障害
・双極性障害とは、うつ状態と躁状態の両方が見られるものです。
・躁状態とは
症状 | 例 |
気分の高揚 | ハイテンション。気分爽快。 |
開放的 | 見ず知らずに人に話しかける。古い友人に接触する。 |
易怒性 | ちょっとしたことで怒る。 |
睡眠欲求の減退 | 眠くならない。眠らなくても疲れた感じがしない。1日中活動しても疲れない。 |
会話心拍 | 多弁。声が大きい。早口。喋り出したら止まらない。 |
観念奔放・注意散漫 | 話題があちこちに飛ぶ。関心の対象が次々変わる。 |
見境のない熱中 | 相手のことも考えずに夜中や早朝に電話をする。 |
自尊心の肥大 | 何でもできるような気持ちになる。 |
誇大妄想 | 自分は特別だという根拠のない思い込み。 |
観念奔逸 | 次々とアイディアが出てきて話がまとまらない。 |
注意散漫 | 外からの刺激に気を取られてしまう。 |
主な治療
うつ病とほぼ同じ。異なるのは薬の内容が抗うつ薬ではないこと。
1、休養
2、精神療法
3、身体的治療
①薬物療法 ②生活リズムを整える ③電気けいれん療法(ECT) ④磁気刺激治療(TMS)
〈双極性障害の治療にあたって、内服治療をする目的〉
・躁やうつ症状を改善する(振れ幅を小さくする)
・気分の波を少なくする
・双極性障害では、それぞれの病相(状態)ごとに薬を使い分けていく場合があります。
事例紹介
Aさん 50代 妻と二人暮らし 休職中 疾患:双極性障害
〈妻より相談の電話①〉
・夫が夜中の3時から「こんなところにいる場合じゃない!出かけるよ!」と外出することが3日ほど続いている。
・よく喋り、眠っていないかもしれない。
・突然怒り出し「こんなもの俺には必要ない」とスマホを壊す。
・会社には明日から復帰する予定だが、心配になった。どうすればよいか?
〈妻より相談の電話②(翌日)〉
・今日も夜中から出かけてしまった。帰宅後、会社に行ったが、上司に帰宅を命じられた。
・多弁で、仕事どころではないため、迎えに来るよう連絡をもらい、今から迎えに行ってくるが、もし逃げられたらどうしたらいいか?
〈後日…〉
・暴力もあり、本人・妻共に安全性が確保できないため、緊急入院になったと連絡が入る。
・ちなみに、秘密にしていたがギャンブル依存があり、借金などで困っていると妻が話していた。
・Aさんは病識がなく(本人は日常生活に困っている感じはなかった)主治医に指示されていた薬の内服をやめてしまっていた。
・薬の管理も本人任せにしていたため、中断してしまったと考えられる。
・家族も疾患を理解できていなかったため、注意できなかった。
・調子が良くなったタイミングで治療を中断してしまったために再発してしまった。
ギャンブル依存、アルコール依存も併せ持っていることがある。
双極性障害については私も苦い出来事があります。適応障害の治療中の診察で、産業医面談へ進むための書類を主治医に書いてもらった時でした。中学時代の部活のおかげでオーバーリアクションを身につけ、そして福祉業界でも大きい動きをする方が対人援助の仕事だと反応が良い時が多いため、動きが大きい方でした。特に焦ったり緊張するとそうなっていました。
主治医から産業医面談で必要な書類を「これはどう説明して渡すの?」と質問された時、「間違った答えを言っては、今日もらえないかもしれない」と急に不安な考えが過ぎり、緊張して間違えないように意識しすぎながら説明をしました。そうすると説明しながら動きが大きくなっていました。
その様子を主治医が見て、電子カルテに「双極性障害の可能性あり」と打ったのです。その画面を見てしまい、私は目を見開いて画面に釘付けになってしまいました。主治医が私の驚いた様子を見て何か話していたのですが、ショックが大きすぎて内容は全く覚えていませんでした。
それから何となく引っかかっていた出来事なのですが、次第に「もしかしたらその気(け)もあるのかもしれない」「冬にかけてメンタル不調や考え事をしすぎて落ちてしまうことが多かったし、季節の影響もあるかもしれない」「ハイな時、ローな時、どちらもあるけど日常生活が送れている。日常生活の送れる双極性障害の人もいるって聞いたから、その気も私はあるのかもしれない」と思うようになりました。
受け入れるって言うんですかね。今もチクッとする出来事なので、傷ついた内容ではあります。振り返ってみましたが、今はHSP(繊細さん)と言う気質の人がいることも認知されてきたので、私はそちらの方が80~90%当てはまるので、これなんだろうなと受け入れるようになりました。
スペクトラムという考え方
・2013年にDSM-5が改訂され、精神疾患をスペクトラム(意見・現象・症状など曖昧な境界を持ちながら連続していること)として理解する視点が導入された。
・「正常」かどうかと言う二者択一的な視点ではなく、連続的に分布していると言う考え方。
※「つらさ」がない時から自分のサインに気が付くこと(セルフケア)が大事!
最後に
・普段からセルフケアをして、いつもと違うサインに気づけるようにする。
・自分が気づけそうなこと、気づくためにできることを考えてみよう。
例:月1回、体重、血圧、検温する。
私のオススメは紙でもSNSでも良いので、自分の1日の一言を書くことです。見返しもできるので、自分の変化に気づきやすいです。文章が苦手な人は音声を撮ることも主流になってきています。
多くの人が迎える新年度、新生活からの連休明け。自分が思う以上に自分を甘やかし、自分を労ってほしいと思います。
この記事が何かのお役に立てたら幸いです。また次の記事でお会いしましょう。
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