こんにちは、ヒョーかるです。私は福祉業界で適応障害や休職、復職を経験し、転職をしました。飄々と軽々と過ごせるような適応障害との暮らし方や気づきをお届けします。
今回は、対人支援の仕事で楽しいと思う理由を書いていきたいと思います。私の経験談を中心にお伝えします。
私は13年間、知的障害の方の支援をしていました。何故この仕事を続けられたのかは、こちらの記事に書いています。
今も分野の違う福祉の仕事をしています。初心に戻る気持ちで書いてみようと思います。
精神的収入が大きい
プラス面ばかりではないのは事実です。どちらかと言うとマイナス面のほうが際立つかと思います。
クレームを言われる、コミュニケーションをどうとったらいいのかわからない、言葉や物理的なダメージを受ける、体力的にしんどい、行動の予測がつかない、なんとなく怖い、時間も多くとられる、人相手だから自分の思うようにいかない。他にもありますかね。
私が思うプラス面は利用者さんと少しずつ関係性が築きあげられていく段階と、感謝が積み上がっていくところ。そしてその人が何か見出したり、何かができるようになったりと成長していくところ。そんなところだなと思います。目に見えないものですが、人間の内側から感じるものかもしれません。
自分が支援した分が、返ってくることはありません。むしろ80%の支援をして5~10%感じられる、数字で表すとそのくらいのイメージです。
こんなに少ないのにプラスだと感じられる理由は、関係性ができてくると双方に「感謝」や「相手を想う感情」が得られるからだと思います。
そこが物質的な物相手では得られない、精神的収入かなと思います。
人に伝える、教える時、考えるようになる
知的障害の方へ何かを伝える時、何かを作る活動や作業を教える時、言葉以外の方法で伝える手段は何か?を考える必要が出てきます。
ジェスチャー、紙に書く、絵にする、写真を見せる、手話、手で触ってもらう、作業工程を見てもらう、色や形でサインを作る、音で覚えてもらう、時間で理解してもらうなど工夫が必要になります。
言葉だと抽象的な単語、難しい単語や略語は利用者さんに伝わりにくいです。年代によっては略語は雑談の話題として使えます。
「ちょっと待って」を伝えたいなら「3分待って」「Aの場所に行って戻ってくるまで」とか。
ちょっとの目安を具体化する必要があります。
どうしたら相手には伝わるだろう、を常に考えるようになります。これを日頃、支援時間帯に行うので習慣化してきます。
また、こちらが焦っていると相手にも感情面が伝わるので、支援者は穏やかに安定した状態を維持する必要があります。緊張感や焦り、怒りを察知するのは人間の本能なんでしょうね、利用者さんも察知して行動が落ち着かなくなります。
利用者さんに活動や作業、運動の機会を提供するにしても、こちらが安定した気持ちでいることが伝える、教えるための土台かと思います。
この視点や考えは支援員同士の伝達にも使えるので、曖昧な指示や返しが減ってくるかなと思います。
わかりやすい伝え方、例え方ができるようになる
一つ前の内容にも似ているのですが、例え方や難しい言葉を簡単にしていく、砕いていく方法が身につくので、より伝え方の解像度が上がります。
買い物の経験での場面です。お金の概念を理解するには難しい利用者さんもいます。その人の好きなお菓子や食べ物があるとします。シュークリームが好きで、1つ100円で買えるとします。
100円玉一つ渡すとシュークリームが1つもらえる。この経験を重ね、ある日300円のハンカチを買うとします。シュークリーム3つ買う分、どのお金を出すとハンカチをもらえるか、考えてもらうと自分で財布から出せるようになります。子どもの教育に似ているかもしれません。
形や色の判断も伝え方の工夫ができます。作業で赤い色を使った絵を描いてもらいたい時、言葉で「赤ですよ」と伝えるよりも、りんごやトマト、イチゴと赤い色の他のものを見せて色を伝えたり。
「丸いって何?」と言われたら「アンパンマンの顔」や「◯◯さんの洋服についているボタンの形ですよ」と例えたり。
例え方のコツは相手がどんなものに興味を持っているか、どの年代かを少しでも知っておくと伝わりやすくなります。相手を観察しておくことが対人援助の仕事では必要になります。
嫌でも相手の長所、短所を見つけられる
短所って意識しなくても見つけられると思います。長所はどうでしょうか?
福祉サービスを提供する施設では、個別支援計画という利用者さんがサービスを受けるために必要な書類を作ります。足りないものを伸ばしていくために必要な支援を立てることもあるのですが、長所を見つけていることが支援ポイントになると私は思います。そのため分析力もつきます。
好みや得意なものから引き出すこと、これから習得したい生活面や就労面の技術を得るために好みや得意、長所から結びつけて支援を立てると利用者さんも支援者も方向性が見えやすくなります。
苦手なものに真正面から取り組めるのは、性格的なものもあるのでほんの数%です。
ほとんどの人は得意や好きなことから褒められて伸ばしていきます。できることが増えていくから次もやってみようとなる。
その感情や意欲は障害があるかないか、そこに差はなく近しいか同じかと思います。
アドリブ力もつく
福祉の現場はイレギュラーが80~90%です。安定した時間があると「本当に今日何もない?」と少し心配になるくらいです。
面白いイレギュラー、危ないイレギュラー、笑えないイレギュラー。特に後半のイレギュラーではユーモア性が必要になります。
例えば利用者さんが転びそうになった時に介助して防ぐことができたとします。
「びっくりしましたね。何か向こうに◯◯があったのですかね?」とその利用者さんの好きなものをお伝えし、一度ヒヤリとした心情と空気をクッションを入れて和らげます。
転ぶことは危ない出来事であるので、転ぶと痛いこと、苦手な病院に行くことになるかも、と2番目に伝えます。転ぶのを防いだ瞬間に「危ないですよ」と伝えても、転びそうになってヒヤリとしたショックや怖さ、何が起こった?と事実を捉えている最中なので、最初に言っても伝わらないんですね。
笑えないイレギュラーの例えとしては、利用者さんが他の利用者さんや支援員に暴言を吐いたり傷つくようなことをした時。
感情の表出に迷い、やむを得ない場合は「手を伸ばしたくなったんですね」
相手を試そうと、面白がっている場合「そういうのが面白いんですね」と一度事実を受け止めます。
面白がっていればこちらも面白がりながら「こちらで面白いこと教えてくださいよ」と人の前ではない場所に移動して、いけないことをしたのだと言うことを伝えます。強い行動や言葉が出る場合は何かが隠れています。
また、活動や作業で予定していたものが出来ない、早く終わった場合、何をするかを考えることもアドリブ力がつきます。
ユーモアやクリエイティブな発想は多岐に使います。お笑い芸人タイプの人や他業種経験のある方は福祉以外の知識で素養を携えているのでモテます。
最後に
以上が対人支援の仕事で楽しいと思う理由についてでした。思っていたことを言葉にしてみると、結構頭を使っているなと改めてわかりました。
この記事が、自分自身を認められるきっかけのお役に立てたら幸いです。また次の記事でお会いしましょう。
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