こんにちは、ヒョーかるです。私は福祉業界で適応障害になり休職、復職を経て、週末は借りている畑の世話をしながら現在も同じ業界で働いている30代です。
今回はリワーク(復職支援)で私の中で「すげー!」と1位2位を争うほどためになっている心理学のことを書きたいと思います。
やりとり分析とは
対人関係を人と人との間で取り交わされるやりとりと捉え、Parent・Adult・Childを使って、自分が他の人々と取り交わしているやりとりの性格を分析する。
やりとり分析の目的は?
・交流分析の観点からやりとり分析をできるようになる
・やりとりのパターンを増やす
交流とは
・交流は、私があなたにコミュニケーションのシグナルを送り、あなたがそれに答えたときに成立する。
→最初のコミュニケーションが刺激(S:Stimlation)
→答えが反応(R:Reaction)
交流の定義
「交流の刺激プラス反応」
例)単純な交流
あなたが座って本を読んでいると、私が入ってきて「やあ」(S)と言う。
あなたは顔を上げ「こんにちは」(R)と言う。
相補交流(平行交流)
相補交流とは、交流のベクトルが平行で、それに向けて刺激が出された自我状態が反応するもの。お互いの関係が「期待された通りの関係」にあるやりとりですから、コミュニケーションはスムーズで、健全な人間関係が成り立っています。
私「今、何時ですか?」
情報を求めている私は「成人」の自我状態におり、聞いてほしい相手の「成人」に向けられている。
あなた「1時です」
事実を答えているあなたは「成人」で答え、回答が私の「成人」で受け取られることを期待している。
相補交流の特徴
・コミュニケーションの第1原則
交流が相補である限り、コミュニケーションは延々と続く可能性がある。
→反応が期待通りであり、刺激に即応したものである限り、2人の間のやりとりはスムーズに進行する。
→対話が生産的である保証にはならない。
・相補交流の場合、通常は次のような気持ちを抱く
→共感を得られたと感じる
→気持ちが良い
→受け入れてもらえたと言う満足感を得る
→話を聞いてもらえていると感じる
→相手に親しみを抱く
→安心感をもつ
*上記のような気持ちを抱くコミュニケーションは仕事でもプライベートでも行われていて、「これかな?」と思い浮かぶ方もいるかと思います。
交叉交流
交叉交流とは、やりとりのベクトルが平行ではない、または反応している自我状態が、刺激が向けられたものではない場合。多くの場合、対人関係の障害の原因となりやすい性質をもっています。
なぜなら、会話の話し手がある種の反応を期待して刺激を出したにもかかわらず、その期待と違った、予期に反した反応が返ってくるからです。
予期に反した反応が返ってくると、話し手は何か裏切られたような感じがし、自分の存在を軽視されていると感じてしまうことが多いものです。
私「今、何時ですか?」
あなた「何時か、何時かと時間のことばかり僕に聞かないでくれ!君はまた遅刻した!一体全体、自分がやっていることがわかっているのか?」
あなたは「成人」で反応する代わりに怒った「親」の自我状態に移行した。
叱りつけることで私が「成人」から「子ども」へ移ることを奨励した。
交叉交流の特徴
・コミュニケーションの第2原則
やりとりが交叉した際には、結果としてコミュニケーションが中断し、それを再開するためには、一人または両者が自我状態を以降させる必要がある。
・話かけた人は、相手から期待した反応が得られない。
→話かけた人は、混乱、失望、裏切られたような気持ちになる。
→二人の間には気まずい空気が流れる
リワークの臨床心理士さんより ・延々とやりとりが続くため、エゴグラムのAC(順応する子ども)が高い人はCP(支配的な親)の高い人と相性が悪いです。黙っているとずっとAC状態になります。 ・CPとACは安定しやすく、ACの高い人は相手のCPを引き出しやすい特徴があります。問題を解決する方向に持っていきたいならば、Aに切り替えて対応していくとA⇄Aの関係に戻ります。 ・コミュニケーションスキルとは「こじれた時にどう修正できるか」がスキルです。
このやりとりか!と気がつくことができれば認知を変えられます。
裏面交流
裏面交流とは、2つのメッセージが同時に伝達される(ダブルバインド)。そのうち1つは明白なもの、または社交レベルのメッセージで、もう1つは隠れた、または心理的レベルのメッセージである。
・社交のレベルはA⇄A
夫「僕のワイシャツどうした」
妻「あなたの引き出しに入れてありますよ」
→社交レベルでのメッセージ
・通常言語で伝達される公然のメッセージ
・一見何気ない表面的(社交的)メッセージ
・心理的レベルはP→C
夫「君はいつでも僕のものを無くしてしまうじゃないか!」
妻「いつもあなたは私を理不尽に批判するのね!」
→心理レベルのメッセージ
・通常、非言語的な手がかりで伝えられる秘密のメッセージ
・言葉には表現されない隠された(心理的)メッセージ
ほとんどの場合
社交レベルのメッセージは「成人」→「成人」
心理的レベルのメッセージは「親」→「子ども」か「子ども」→「親」
裏面交流の特徴
・コミュニケーションの第3原則
裏面交流の行動結果は、社交レベルではなく心理レベルで決定される。
→人が2つのレベルでコミュニケーションをしている時、実際に起こるのは常に秘密のメッセージの結果である。
この関係が続くと不誠実な関係になります。モラルハラスメントやパワーハラスメントの図解そのままであります。
最後に
人と会話をしている時にはこんな心理状態になっているんだなと目から鱗の当時の私でした。
この知識が入り、周りの人の会話を聞いて「今はA⇄Aなんだな」と気づいたり、伝えたいことや自分の気持ちを伝えたい場合は、相補交流(平行交流)でやりとりをした後に、自分からAに切り替えて本題に入るという方法を試してみました。いきなり交叉交流に持っていくよりは、相手も切り替えを緩やかに出来ている印象を持ちました。
特に私は裏面交流の心理的レベルメッセージを受け取ることが鈍感で、幼少期から「なんで怒ってるの?」と理解できなかった場面が思い当たります。
そのため人間関係が構築できないこともありました。特に「察する」力が不足していました。恐らく迷惑がられていた人間関係もあったと思います。
臨床心理士さんからは「この鈍感力もある意味才能だよ」と言われました。自分にとっての生きやすさの一つでもあるのかなと今は思います。
また、裏面交流で交わされたことに気がつくことも少しずつあり、自分の気持ちに余裕がある時は「今~~と感じたんだけど、〜〜だった?」とアサーティブな姿勢を使って率直に聞くこともあります。
しかし、気持ちに余裕がない時は無理に察さず、社交レベルで発信した相手の課題と捉え、自分のペースに戻すこともあります。交流の判別も程度が必要なんだなと感じました。
次回は3つのやりとりのバリエーションをいくつかお伝えできたらと思います。
この記事が何かのお役に立てたら幸いです。また次の記事でお会いしましょう。
参考文献 ・「TA TODAY 最新・交流分析入門」イアン・スチュアート、ヴァン・ジョインズ 深沢道子 監訳 実務教育出版 ・「交流分析入門:桂戴作、杉田峰康、白井幸子 チーム医療
コメント