こんにちは、ヒョーかるです。私は福祉業界で適応障害や休職、復職を経験して、これは飄々と軽々と生きていけるんじゃないか?と学んだことや思ったことをコツコツお届けしたいと思います。
今回は対等な人間関係をつくるのに役立つ、主に家族療法の視点から見たコニュニケーションについて書いていきたいと思います。
直接的因果律
●「原因」があり「結果」が起こるという出来事の認識の仕方 例)子どもが石を投げて家の窓ガラスに当たり、その結果、窓ガラスが割れ、そのため室内に居た人がガラスの破片で怪我をした。 →「Aが起きたからBが起き、その結果Cが起きた」と出来事を一方的な連鎖として起きたことを説明する。 ●「問題が起これば、それには「原因」があり、その原因を究明することが「解決」につながるという考え方」
円環的因果律
●原因と結果の連鎖が続き、結局結果が始めの原因者に戻ってくるような自己言及的、回帰的な円環をなす循環の中の出来事が位置付けられていると捉える説明の仕方。
例)AがBに石を投げ、怒ったBがAに石を投げ返し、Aも怒ってさらにBに石を投げ、二人は喧嘩になった。
原因A→結果B=原因B→結果A=原因A…の連鎖が続き、どちらが喧嘩を続けている原因か結果がわからなくなる。
●直線的因果律とは、円環的な連鎖の一部をあえて区切る(切り取る)ことで浮かび上がる部分のみを見ていると捉えることができる。 →どこで区切るかは観察者の恣意、観察者の問題意識(都合)によって決まる。 *嘘は言っていないが、一部しか見てないのでどっちがどっちなのかわからない。
●円環的に捉えるとは、出来事を多数の要素間の相互作用の文脈の中で理解しようとすることである。
外在化(客体化)
●問題をその人のアイデンティティから切り離すこと →アイデンティティとは離れた位置から問題を語るようになる。 →人を問題としてみるのではなく、問題が問題である。 ●外在化する会話では、問題は常に人から離れたものとして語られる →問題を部屋の中のどこか、人の肩の上とか、空いている椅子の上などにある「物体」として想像してみるとよい。
内在化する会話 | 外在化する会話 |
「私は怠け者で、何もできません」 | 「問題があなたのエネルギー・レベルに影響を及ぼしている」 |
「私はうつです」 | 「うつというものが外に出ることを難しくしている」 |
「私は心配性です」 | 「心配性は、あなたの新しい試みにストップをかけている」 |
ビジネストレーニングでも「客体化(外在化)」のトレーニングについて書いています。
*教えられるものではないから、訓練していくことでできていく。 *円環的因果律を外在化すると解決する。「お前のせいだ」になると問題は複雑化する。 *自分は外在化で伝えているけれど、相手は内在化(お前のせいだ)で向けてくることがある。切り替えの対応としては「この問題を解決しましょうよ!」と視点を持っていくこと。
こちらは捉え方の切り替えをしていくと、だんだん問題解決方法に焦点が当たりやすくなってきます。仕事上では大いに役立つ視点なので、それを日常生活でも活かせると、対人関係でのトラブルも問題解決に向けて視点が向きやすくなります。
私の例で言うと
【仕事面】
誰かがミスをした。ミスが問題なので、どうしたらなくせるかと考えたり相手に投げかける。
【日常面】
誰かが怒っている、泣いている。「またあの人怒ってるよ(泣いてるよ)」とはならず、「怒った理由は何?泣きたくなった理由は何?」と視点が向くようになる。
返報性・互恵性
●人は他者からなんらかの感情を受けると、それをそっくり返そうとする。
→嫌悪の返報性
・嫌悪を嫌悪で返そうとする
→好意の返報性
・好意を好意で返そうとする
●互恵性規範・返報性規範
→人間社会には、報酬を受けた人に対してお返しをしなければならないという社会規範が存在する。
*変化しやすいのは自分からの対応
これは身近に当てはまる人も多いのではないでしょうか。わかりやすいのが、お土産をもらった。自分も何かお返ししよう。親切にしてもらった。その人が困っている時に声をかけている。好意の返報性は代表的ですね。嫌悪も返報性があることを私は知識で知って、この数年で実感しています。
言語と非言語
2つの種類の情報 ●ヒトがコミュニケーションをする際、少なくとも2つの種類の情報が伝わる。 →内容の情報(レポート) ・「空気が乾燥している」「バラがきれいだ」など ・言葉で内容を報告する→「レポート」 *仕事では重要視するけど、井戸端会議ではそんな重要時じゃない。 →姿勢や関係性を示す情報(コマンド) ・相手に対する気持ちを口調や身振りで伝える。 ・「敵視していないよ」 ・関係性を訴える→「コマンド(命令)」 送り手:「危ない!」受け手:「よけろ」という命令として受け取る。 *普段のやりとりや関係性を伝えるにはこちらが重要。
非言語(口調・身振り) | 「あなたのこと怒っていないよ、敵視していないよ」 | 関係性を訴える (コマンド) |
言葉 | 「バラがきれいだ」 | 内容を報告する (レポート) |
自分の言葉と口調や身振りを振り返ってみるといかがでしょうか?言葉と口調、言葉と態度など2つ以上の情報を使って普段から会話をしているかなと思います。面白いものを見て、大声で「あっはっは!」と体を仰け反りながら表現する人もいれば、ちびまる子ちゃんの野口さんのようにニヤつきながら顔を背ける人もいます。
「ただの言葉」なんてものはない
●いくら言葉で言っても、身振り・口調で、そう伝えるのとは決して同じにはならない。
→身振りについてどれだけ言葉を尽くしても完全にその意味を言い表せない。
非言語(口調・身振り) | なし | 関係性を訴える(コマンド) |
言葉 | 「怒っていない」 | 内容を報告する(レポート) |
*表のように非言語のない状態でも相手に「怒っていないこと」を伝えられるでしょうか?
・書いて言葉にもリズムもあれば、響きもある。
・携帯メールの文字も、言葉の選び方や前後の文脈などで、相手との関係性を表している。
「ただの言葉」というものがあるという前提でやっていることが多すぎるのでは?
ダブルバインド(二重拘束的な表現)
●2つの同時に発せられたメッセージ、AとBという命令、そのどちらもお互いが矛盾している。
したがって、両方同時に満たす解答はなく、Aに応答しても罰せられ、Bに応答しても罰せられ、応答しなくても罰せられる。
●さらにその場から立ち去ることが許されない。
→例 上司:「自主的に動きなさい」(業務命令)
非言語 | 業務命令=「従いなさい」 | →期待して従って動くと「自主的に動く」に背く |
言葉 | 「自主的に動きなさい」 | →勝手に振る舞うと「従いなさい」に背く |
●何をやっていいのかわからず、混乱し始める。身動きが難しくなる。これをやられると動けなくなる。→モラル・ハラスメントにもつながる。
*客観的に捉えて「どうしたらいいか分からないです」と勇気を出して伝える。
ダブルバインドの例
●Aという言語的命令が、Bという非言語的指示と相矛盾(不誠実に受け取れられる)し、しかもその矛盾を指摘することが許されない。
- 子:自分はダメだ。
- 親:そんなことないでしょ、自信を持って堂々としなさい!
- 子:いや、そんなことできないよ。自信なんか持てないよ!
- 親:何ぐずぐず言っているのよ。しっかりしなさい!
- 子:できないよ…
- 親:本当にダメな子ね、情けない。もう勝手にしなさい!
- 子:(ますます自信をなくし)自分はやっぱりダメだ…。
非言語 | 「お前はしっかりできないダメな子どもである」 |
言葉 | 「しっかりしなさい」 |
非言語 | 「従わないと、不利なことが起きますよ」 |
言葉 | 「勝手にしなさい」*子どもが勝手にすると、ますます親を怒らせる。 |
このダブルバインドも受ける側、発信する側も経験ありませんか?交流分析の裏面交流がその仕組みです。
言語情報と非言語情報が違う場合は?
●私たちは何か迷惑をかけたり、間違ったことをした時には謝罪します、「ごめんなさい」と言います。この時、
- ①とても申し訳なさそうなトーンと表情で「ごめんなさい」を言われた場合と考えてみてください。
- ②言葉では「ごめんなさい」と言いつつ、こちらを凝視したり、荒げた言い方をされた場合を考えてみてください。
- ③目をそらせたり、おどけた口調で「ごめんなさーいね」と言われた場合を考えてみてください。
●結果は
- 謝罪の気持ちが伝わってくる(①)
- この人、本当に悪いと思っているのだろうかと疑念が沸く(②③)
- 何となく怖くなる(②)
- 小馬鹿にされた気分になる(③)
②と③は、言語と矛盾した非言語情報が発せられる。
私たちは、いろいろな現象を非言語情報で判断していることが理解できます。 *家族療法では非言語を重きに置いている。 *仕事では部下は役職の力を持っていないので、言語と非言語を合わせることで説得力を増すことができる。合わせられないと説得力が下がってしまう。
●ワーク
→言葉抜きで、幸せそうなカップルに見えるようにするには、どうしたらいいでしょうか?
→言葉抜きで、幸せそうに見えないカップルにするには、どうしたらいいでしょうか?
メラビアンの実験
●言語情報と非言語情報が矛盾している場合、どの情報から影響されるか
情報の種類 | 影響の比率 |
言語情報 | 7% |
聴覚情報(口調や話す速さ) | 38% |
視覚情報(見た目) | 55% |
メラビアンの実験 態度や感情のコミュニケーションを扱った場合で、事実報告や要望をするときのコミュニケーションではない。 私たちは言語情報より非言語情報の方を重要視して認知する。
こちらも様々なビジネススキル関係や心理学関係の情報で有名です。視覚情報を多く得ているので、見た目や印象をつけようという方法でよく使われます。
伝える
自分を伝えるということ
●人間関係は伝え手と受け手からなる
●人の心の中は見えない
→伝えたことは相手の受け取り方で変わる
→コミュニケーションとは誤解やズレを調整していくこと
→自分の考えや気持ちを正確にとらえてから伝える
●人それぞれ理解の枠組みが違う
●自己表現には限界がある
→心の全てを伝えることはできない
→ことばの限界がある
⇨伝えたいことを選択する必要がある
⇨伝えきれない
伝えるためのコツを知りたい方は、コミュニケーション上手になろうの記事
も役に立つかと思います。
この記事が何かのお役に立てたら幸いです。また次の記事でお会いしましょう。
参考文献 ・「家族療法テキストブック」日本家族研究・家族療法学会編 金剛出版 ・「優しいベイトソン コミュニケーション理論を学ぼう!」野村直樹 金剛出版 ・「家族心理学」中釜洋子、野末武義、無藤清子、有斐閣ブックス ・「対人関係のスキルを学ぶワークブック」平木典子監修 宮崎圭子、柴橋祐子共著 培風館 ・「ナラティブ・セラピーって何?」アリス・モーガン著 小森康永、上田牧子訳 金剛出版
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