こんにちは、ヒョーかるです。私は福祉業界で適応障害になり休職、復職を経て、週末は借りている畑の世話をしながら現在も同じ業界で働いている30代です。
認知再構成法の記事で「自動思考」の話題を出しました。
その種類について書いてみたいと思います。ストレスがかかっているときは、偏りや歪みが生じやすくなります。視野が狭くなるという状態です。自動思考のクセを「特徴的な認知のゆがみ」といい、9つほど分類されています。
「特徴的な認知のゆがみ」9選
1、根拠のない決めつけ
証拠が少ないままに思いつきを信じ込むこと。
例) はじめて手がけた仕事がうまく進まないときに、この仕事はうまく行かないだろうとすぐに決めつけてしまうこと。
2、白黒思考
灰色(あいまいな状態)に耐えられず、ものごとを全て白か黒かという極端な考え方でわりきろうとすること。
例) なんでも完全にできていないと気になってしまいます。
3、部分的焦点づけ
自分が着目していることだけに目を向け、短絡的に結論づけること。
例) ある人に苦手意識を持っていると、行き会ったときに挨拶をされなかったという事実に目が向いて、やはり嫌われていると考えてしまいます。
4、過大評価・過小評価
自分が関心のあることは拡大してとらえ、反対に自分の考えや予測にあわない部分はことさらに小さく見ることもあります。
例) 対人交渉が下手だと思っているために、上手に交渉できなかったときのことばかり思い出して、うまくいったときのことは忘れてしまう。
5、べき思考
「こうすべきだ」「あのようにすべきではなかった」と過去のことをあれこれ思い出して悔やんだり、自分の行動を自分で制限して自分を責めること。
例) 家事が十分にできない自分を見て「主婦なら家事を完璧にするべきだ」と責めます。
6、極端な一般化
少数の事実を取り上げ、すべてのことが同様の結果になるだろうと結論づけてしまう。
例) ひとつのあるプロジェクトが思ったように進まないときに、過去の失敗を思い出して、自分はいつも失敗すると考えます。
7、自己関連づけ
何か悪いことが起きると、自分のせいで起こったのだと自分を責めてしまう。
例) 子どもが学校で問題を起こして担任から注意を受けたときに、すべて自分の育て方が悪かったんだと自分を責めます。
8、情緒的な理由づけ
そのときの自分の感情に基づいて、現実を判断してしまう。
例) 新しい仕事についたときに不安を感じると、「はじめてでよくわからないから不安なんだ」とは思わずに「こんなに不安なんだから、自分にはできないほど難しい仕事に違いない」と思い込んでしまうのです。
9、自分で実現してしまう予言
自分で否定的予測を立てて自分の行動を制限してしまい、自分の行動を制限するものだから、予測どおり失敗してしまう。その結果、否定的な予測をますます信じ込み、悪循環に陥ってしまう。
例) 人前で話そうとすると声が震えるのではないかと心配しているために、いざ実際に人前で話すことになると、失敗することばかり考えて意識過剰になり声が震えてしまって、結局やはりそうだったと考えます。
私は1~9まで状況によって「どれもあるなぁ」と思うのですが、特に顕著なのは2の白黒思考と5のべき思考でした。あとは最悪な状況を受け止めるため気持ちのクッションとして、4の過小評価は幼少期からよく使っていました。皆さんも「あぁ、これあるなぁ」という自動思考のクセはありましたか?
ここで捉え方を変えていくための「7つのコラム法」について書きます。
「7つのコラム法」で捉え方を書き換えてみる
【状況・気分・自動思考・根拠・反証・適応的思考・心の変化】と書き出していきます。
過去の嫌だったな、うまくいかなかったなという状況を書きます。
例)これまでなじみのない仕事をしていてわからないことが出てきた。まわりの人に聞こうと思うが、みんな忙しそうにしているのでつい聞きそびれた。
*ここでは重大な出来事より、些細な出来事を挙げる方が進めやすいです。
その時の気分を感情の言葉で書き、%を自分でつけます。
⑴無力感(80%)
⑵みじめ(70%)
その時に出てきた自動思考をチェックします。
⑴どうして積極的になれないのだろう。こんな消極的では、仕事が先に進んでいかない。1と2、3の自動思考。
⑵引っ込み思案な自分が情けない。仕事も人間関係もうまくできない自分は、社会人として失格だ。3と6の自動思考。
自動思考で浮かんだ根拠を書きます。
⑴仕事の内容がよくわからない。実際に仕事が停滞している。
⑵人に話しかけるときにいつも緊張する。言いたいことが言えないことがよくある。
自動思考と矛盾する事実を探して反証してみます。
⑴慣れていない仕事はだれでもとまどうが、少し慣れてきた部分もある。同僚も上司も、時間があるときには教えてくれるし、少しずつ仕事は進んでいる。
⑵自分は聞き上手だと言われることがある。ためらっていても、本当に必要なことは最後には言えている。
*ここで「でもさ~」と白黒つけず、色々な見方を考えられるようになると楽になります。「これもあるし、あれもあるな」と考える。ストレスを下げることが目的なのです。
以下もポイント
- 見逃していることはないでしょうか?
- ほかの人が同じような考え方をしていたら、あなたがどのように言ってあげるでしょう?
- あなたがそのように考えているのをあなたの親しい人が知ったら、その人たちはどのように言うでしょう?
- 元気な時なら違った考え方をしていないでしょうか?
- 5年後、10年後に同じ体験をしたとすれば、どのように考えるでしょうか?
- これまでに同じような体験をしたことがありませんか?もしあったとすれば、それのときにはどのような結果になったでしょう?そのときの体験で、いま応用可能なものはないでしょうか?
- 自分の力だけではどうしようもない事柄について自分を責めてはいないでしょうか?
そして適応的思考にしてみます。
⑴どんな仕事でもうまくいかないことはあるが、少しずつ仕事は進んでいるから、まずその経過を見ることが大事だ。慣れてくればスムーズにいきそうだし、まわりの人たちも協力的だ。
⑵緊張するのは事実だが、言うべきことを言えればいい。むしろ、聞き上手の方が人間関係はうまくいく。
*自分で「言われてみれば、そうだなぁ」と思えることが大事です。
・自動思考に代わる柔軟で現実的な考えを書き込む。
・ばかばかしいと思えるようなものも書き出しておく。
最後に心の変化を%で書き出します。
⑴無力感(50%)
⑵みじめ(30%)
最後に
いかがでしょうか?
7つのコラム法でちょっと嫌だなという出来事を見つめ直していくと、私は「同じようなときに出会ったら、試してみよう」と気持ちが上向きになりました。もし、お気に召していただけたらやってみてください。
原因と結果は【原因⇄結果】のようにループしています。ループの原因を断つことは大きなストレスがかかります。原因を断つのではなく、見方を変えると【原因☆⇄結果☆】と原因と結果の形が変わります。ストレスを減らすことになります。
この記事が何かのお役に立てたら幸いです。また次の記事でお会いしましょう。
参考図書 ・「こころが晴れるノート」大野裕 創元社 ・「認知療法・認知行動療法カウンセリング 初級ワークショップ」 伊藤絵美 星和書店 ・「認知療法。認知行動療法 治療者用マニュアルガイド」 大野裕 星和書店 ・「ストレスマネジメント入門 第2版 自己診断と対処法を学ぶ」 中野敬子 金剛出版
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